はじめに
LUMIX S9を購入するにあたって、流石にマウントアダプターでコンパクトなレンズを使う事を前提にしているとはいえ、AFが使えるレンズがない状態では流石に厳しいだろうという事で、レンズキットを購入する事にしました。
当初は価格的な面と28-200mmだと『レンズが大きいと思っていた』ので、20-60mmのレンズキットにするつもりでした。
広角側が20mmまで使えると結構便利なのは分かってましたし。
ただ、20-60mmと28-200mmを比べた時に、大きさの差はほぼ無いという事に気が付いて28-200mmの方に決めたわけです。
そんなわけで、実際に使ってみた感じで28-200mmがかなり良かった・・・というか、色々と試してみたら28-200mmの方がいいんじゃないかと思ったのと、暗いレンズだから少しでも明るい方がいいからと20-60mmを選ぶよりも、20mmあたりの距離をたまにしか使わないのであれば、28-200mmにしておいた方がいいんじゃない?って思ったので、その辺りの事を書いてみようと思います。
LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.のいいところ
LUMIX S 20-60mmと28-200mmの比較表
LUMIX S9のキットレンズとなっているLUMIX S 20-60mmとLUMIX S 28-200mmは微妙にニーズが違うと思います。
28-200mmの方だと便利ズームにしてもテレ端がF7.1というのは暗すぎるんじゃね?っていうところが気になる方もいると思います。
という事で、先ずはスペック的な部分で比較をしてみます。
LUMIX S 20-60mm | LUMIX S 28-200mm | |
焦点距離 | 20-60mm | 28-200mm |
開放F値 | F3.5-F5.6 | F4-F7.1 |
最小F値 | F22 | F32-F45 |
最短撮影距離 | 0.15m(W)/0.4m(T) | 0.14m(w)/0.65m(T) |
最大撮影倍率 | 0.43倍(焦点距離26mm、0.15m) | 0.5倍(W) |
フィルター径 | 67mm | 67mm |
サイズ | 77.4x87.2mm | 77.3x約93.4mm |
重さ | 約350g | 約413g |
まず、普段使うものとして考えた時に気になるのがサイズと重さでしょう。
上の表を見て頂ければわかるんですがどちらのレンズも最大径はほぼ変わりません。
そしてどちらも縮長時のサイズになっているので、どちらもワイド端の時のサイズという事になります。
両者を比べてみると、長さが6mm、重さが60gという差なんですよね。
実際に両方のレンズを比べてみると、あまりの差のなさにめっちゃ悩むんじゃないでしょうか。
因みにLUMIX S9に付けるなら20-60mmでもフロントヘビーな感じがするのは20-60mmでも28-200mmでも変わらないです。
使い勝手を考えると28-200mm一択
広角側が必要なのであれば20-60mmを選ぶ形になるんでしょうが、利便性を考えたら28-200mmの方が断然いいです。
レンズキットとしての価格差は4万円くらいありますが、レンズ単体の実売価格で考えると28-200mmキットの方がめっちゃお買い得なんですよ。
そして、28-200mmは広角端でハーフマクロという分かりやすさがあるのと、実用していると圧倒的に利便性が高いです。
余程の事でもなければ28-200mmの焦点距離でほぼ問題ありません。
クロップズームを活用して画質を多少犠牲にしてもいいのであれば最長で625mm相当の焦点距離までカバーできます。
20-60mm広角寄りの便利ズームではありますが、やはり普通に使っていると60mm以上を使う場面も多いので少し足りないと感じる事が多くなってくる気がします。
もし広角レンズが欲しいのであれば、LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACROなどの広角ズームやコンパクトなLUMIX S 18-40mm F4.5-6.3を別途購入して広角面をカバーする方がいいんじゃないかと思います。
F値が暗いのは気にしなくてもいいかも
細かい事は実写編の所で記載していますが、28-200mmの焦点距離が60mmの時点F5.1なので、20-60mmだとF5.6なので実は28-200mmの方が60mmあたりだと明るいレンズになるんですよね。
F7.1で暗いと言われる部分に関しても、実際に昼間に使用するのであれば全然暗いとかボケにくいとかは感じませんしね。
テーブルフォトなんかにも気軽に使えるので難しさもほぼありません。
その辺りはここから下の実写編を詳しく見て頂ければと思います。
実写編
LUMIX S9とLUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.を使って色々と撮ってみました。一部LUTを当てている写真もありますが、全てトリミングなしの撮って出しをWeb用としてリサイズしたものになります。
梅雨入りして基本的には曇天ばかりの日々になりましたが、夏も近いので日も長くて、夜19時15分ごろになってもうっすらと明るさの残った空でした。
JR大阪駅とうめきた広場の階段の所から建設中のうめきたのビル群を撮ってみました。

今時のカメラなので、ISO-1600くらいだったら何の問題もない写りをしてくれます。
グランフロント側を広角端で撮ってみました。

広角寄りの画角とはいえ、28mmなのでそんなに広くは写せませんね。
JR側に向けて撮ってみました。

雨なのとラッシュ時を少し過ぎているので、少しだけ人は少なめな感じですね。
開放F値がF4なので、夜の街灯のないめっちゃ薄暗い場所だと厳しめかもしれませんが、普通の場所だったら手ぶれ補正もあるし、ちゃんと止まって撮れば問題ないんじゃないでしょうか。
ひまわりの花が咲いていました。

意外と綺麗に咲いているのがこれくらいしかなかったデス(;´Д`)
なんとなく雰囲気的な写真にしたかったので、後でそういった感じのLUTを組み合わせようと思っていたので、向日葵にはバチピンさせずに少しだけ外してます。
すこし小ぶりの紫陽花。

F値が暗めとはいえ、焦点距離の短い方ではそんなに一気にF値が落ちていく感じではないので、実は20-60mmと大差ないような気もしますね・・・
流石に広角端20mmの20-60に比べるとかなり狭く感じますが、寄れる28mmって意外と使いやすいんですよ。
SIGMAの18-50mm F2.8 DC DN|Contemporaryもフルサイズに換算するとほぼ28mmなので、同じような感覚で使えます。

最短撮影距離が14cmなので、フードを付けたらほぼベタ付きで撮れまでいけます。
実はF値は20-60mmと差がないかも・・・
このLUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.Sというレンズは『テレ端がF7.1』という部分だけが目を引いていて、『暗いレンズ』という印象を受けていると思いますが、紫陽花の写真の所でも書きましたが、F値の落ち方がかなりゆっくりに感じます。
下の写真は焦点距離57mmですが、F5.1となっています。

20-60mmのテレ端とほぼ同じくらいの距離でこれなので、広角側をあまり使わない人だと、実はこの28-200mmの方が明るいレンズだったりするわけです。
実際にカメラで確認してみたところ、60mmの時点ではF5.1で、F5.6になるのは74mmでした。
この値から考え方を少し変えると、「28-75mm F4-5.6 MACRO」という感じのレンズとも考えられるので、少しでも焦点距離が長めの方がいいという人であれば、テレ端のF7.1というのをあまり気にせずに、このLUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.Sを選ぶ方がいいんじゃないかなと思ったわけです。
200mmテレ端とデジタルズーム
開放F値が7.1という事で写りが気になるかもしれませんが、実際に試してみると案外気にならない感じでした。
2400万画素でノイズが出にくい事とデュアルネイティブISOの効果もあるんでしょうが、そこまで明るくはない自室で普通に室内撮りをしてISO-25600まで跳ね上がってもノイズが出てダメだという買事は無かったです。
ピンポイントで狙って周りをボカしたいとかなら200mm f/2.8とかでしょうけど、一般的な便利ズームとして考えた場合なら十分実用的ではないかと思います。

元々、LUMIX S1デジタルにも画像サイズを下げる事で焦点距離を延ばしたのと同様にするデジタルテレコンというのがありましたが、LUMIX S9にはハイブリッドズームとクロップズームという2つの項目があります。
クロップズームはデジタルテレコンと同じ感じで、画像の中央部分を切り出す事で画質を劣化させることなく望遠効果を得る事が出来ます。
ハイブリッドズームはレンズの光学ズームとクロップズームを組み合わせて、ワイド側の焦点距離を変えずにズームリングだけで高倍率のズームが出来るようになります。
画像サイズがXSになりますが、20-60mmの場合だとハイブリッドズームを使えば20-187mmの便利ズーム的な使い方が出来ますが、28-200mmでハイブリッドズームを使うと、28-625mmというトンデモズームレンズとして使えます。

上の写真はハイブリッドズームを使用して一つ上の写真のデジタル時計部分を撮影したものです。
アスペクト比3:2で撮影しているので、Lサイズで6000x4000ピクセルになりますが、XSサイズに落としたとしても1920x1280ピクセルのサイズが残るので、SNSとかうちのようなブログであれば十分すぎるサイズが残る形になります。
サイズM(4272 x 2848ピクセル)でも280mmまで焦点距離を延ばすことが出来るので、これは地味に便利だなと思いました。
このLUMIX S9でハイブリッドズームを積極的に使っていく事を考慮すれば、28-200mmが28-625mmのレンズに化けるので、普通に旅行に行くのならこのレンズ1本で全て片付きそうな気がします。
テーブルフォトも楽々できる
広角端で28mmですが、十分にランチなんかのテーブルフォトも出来ます。

ちょっと広めのお膳ですが、座ったまま少し引くだけで十分に全体を写す事が出来ます。
器のサイズを考えたら、中心のネギに対して後ろが結構ボケているので、ドリンクなんかを撮って後ろをボカす事も出来そうです。

28mmで14cmまで寄ってハーフマクロとして使えますが、寄りすぎてフードの影が出ちゃうので、こういった場面では難しいかな。

結構自分のフィーリングに合わせて撮影できる感じのレンズだと思いました。
エビマヨを撮ってみましたが、ちょっと雰囲気がある感じになりますね。

基本的にハーフマクロにこだわらず、座ったままズーミングで撮る方がいいかもしれません。

ハーフマクロの使い勝手
最短で14cmまで寄ってハーフマクロ撮影が出来ますが、SONYのE 30mm F3.5 MACROと違って花型フードなので、どうしてもフードの影が入り易くなります。

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN|Contemporaryの時はフードを付けていてもそこまで気にならなかったんですが、流石に口径の大きなレンズになってくるとフードを外してのマクロ撮影と割り切った方がいいのかもしれません。
ただ、上の写真でもそうですが、開放のF4だとピントに合わせた蕊の部分以外はほぼボケてしまう感じなので、F6.3まで絞って撮っている事を考えると、ハーフマクロにこだわりすぎずに少し引いてズームで調整という普通の使い方をする方が手軽かもしれないなと思いました。
まとめ
28-200mmのような便利ズームになると、大きくて寄れないというイメージが強いので敬遠しがちでした。
実際にSONYのα6700用として1本で全てが完結できそうなタムロンの18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)を買おうかと思いながらもずっと悩んでいるのもそのサイズや重さでしたし。
しかし、このLUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.は、この焦点距離で考えるとコンパクトな方ですし、重さも十分に許容範囲でしょう。
カメラ本体のハイブリッドズーム機能を併用するのであれば、コンパクトで軽量なレンズなのに600mm相当まで寄れるという破格性能になるので、費用対効果はかなり大きいんじゃないでしょうか。
ただ、流石にLUMIX S9の常用レンズとするのは少し大きくて重い感じがしますが、グリップを付ければそこまで気にはならないかもしれませんし、後日発売予定のLUMIX S 18-40mm F4.5-6.3と組み合わせて普段使いは18-40mm、少し遠出する時は28-200mmという感じで行けば十分に広角側もカバーできるようになると思います。
という事で、実際に買ってみたら思った以上に使いやすくて個人的にはめっちゃ万能な印象を持ったレンズでした。
LUMIX S9をレンズキットで購入するつもりで考えている方で、20-60mmにするか28-200mmにするかで迷っている方の参考になれば幸いです。