はじめに
以前、同じUlanziさんのコンパクトながら使い勝手のいいトラベル三脚、TT09 VideoGoをレビューした事があるんですが、今回Ulanziさんから新発売されたワンプッシュで三脚に早変わりするハンドルグリップ、TT38を購入してみたのでご紹介してみようと思います。
TT09 VideoGoのレビューは上のリンクからご覧いただけます。
どうでもいい事ですが、基本的にはほぼ自腹レビューなのでわざわざ自腹レビューって書く必要はないんですが、なんとなく書いてみたかったんですよね(;´Д`)
Ulanzi TT38を購入しようと思った理由
現在手持ちの三脚にも出来るグリップはSmallRigのSR-RG1というα6700用に購入したグリップとZ30の時に購入したSmallRigの3070トライポッドグリップになります。
これらのグリップでも実用的な問題はないんですが、一部こうなったらいいなと思う部分がありました。
それは『微妙な角度で固定できない事』
カメラと握り手の角度を決めるグリップの首の部分はプッシュして決まった角度で固定という形なので、微妙な角度調整というのが出来なかったんですよ。
まだSR-RG1の方が少し細かい調整が出来る印象なんですが、何気に色々と手間な部分もあります。
なので、ビデオハンドルみたいなのがあればいいよなぁとは思いながら、動画もあんまり撮らないのに要らんやろというセルフツッコミで買う事が無かったんです。
でも、今回のUlanzi TT08はビデオハンドルのような角度が付いた状態に自由雲台が生えているという形状をしているので、微妙な角度調整なんかも行いやすくなっているのと、見た目以上に使い勝手のいい機能が色々と搭載されているので購入する事にしました。
Ulanzi TT38の外観と機能説明
Ulanzi TT38の外観と機能
Ulanzi TT38の外観はこんな感じで、普通のVlog用グリップという感じです。
付属品はクイックリリースプレートを固定するための六角レンチが1本。
クイックリリースプレートは普通にコインでも固定できるので六角レンチは持ち歩かなくても大丈夫です。
サイズ的にはこんな感じ。
写真を撮るために手首を曲げていますが、自然に握った状態でカメラがいい感じの位置に来るようになっています。
グリップとして握った時には少し大ぶりな感じがありますが、握る方の指側は少し厚みが少なくなっていて、シリコンが張られていて滑り止めグリップになっているので、意外としっくり来る感じです。
自由雲台部分は360度の水平回転と180度(前後90度)のスイングが行えるので、縦アングルでの撮影も手軽に行えます。
自由雲台の角度調整に関しては緩めすぎると一気に傾きますが、パンは少し固めなので場合によってはしっかりロックせずにフレキシブルに動かせるようにしておくのもアリかもしれません。
また、雲台のロックとは反対の側面部分にコールドシューが1つ用意されています。
カメラのホットシューを別の物に使用したりするのであれば、ここにマイクや小型のビデオライトをつけたりも出来ます。
何かしらのアタッチメントを作るかスマホを挟み込むやつでカメラ用のワイヤレスリモコンを装着できるようにするのもいいかもしれませんが、コールドシュー自体はホールドするようなタイプではないので、取り付ける側でしっかりと締め付けて固定できるようなものを付ける方がいいかと思います。
自由雲台とカメラの取り付けは同社のF38タイプのクイックリリースシステムが採用されています。
同社の三脚に使用されているUKAクイックリリースプレートやFALCAMのF38と互換があるので、ワンタッチで固定&リリースが出来ます。
当然ながらロックも出来ます。
左にスライドさせてロックで右にスライドさせてロック解除。
ロック解除しても直ぐに外れるわけではなく、この部分がプッシュスイッチになっているので、押し込むと取り外しが出来ます。
新型のF38クイックリリースプレートはこのタイプになっていますが、旧式の捻ってロックするタイプのクイックリリースプレートでも問題なく使えます。
装着時はロック側から先にいれて、反対側を押さえるようにすると、外側から固定する爪がせり出してきてプレートをガッチリと固定してくれます。
アルカスイス互換じゃないのに関しては、このプレート上にアルカスイスクランプを装着すれば問題解決できるので、そこまで気にする必要はないかもしれません。
変な話、このボタンを押し込まなければ外れないので、ロック解除のままでもここに触らなければ落ちる事は無いはず。
Ulanzi TT38の製品仕様
スペックとしてはこんな感じになっています。
材質 | ABS、アルミニウム合金、シリコン |
耐荷重 | 3Kg |
重量 | 394g |
サイズ(高さx幅x奥行) | 252x56x108mm(グリップ時) 200x230x210mm(三脚時) |
サイズ的には先に記載したSmallRigのリモコン付きグリップなんかに比べると大きなボディサイズになっていますし、何かしらのリモコンを装着できるような便利機能に対応しているとかではないんですが、三脚時という記載がある通りにグリップから三脚に展開する事が出来ます。
しかもワンタッチで展開可能!
三脚の脚を出したりするのが面倒だったりするので、出す時だけでもワンタッチなのは有難いです。
比べると分かる、Ulanzi TT38の便利さ
内容的にはTT38の使い方バリエーションが先の方がいいんでしょうが、通常のトライポッドグリップよりも大きいけどめっちゃいいなと思った点を先に紹介したいと思います。
まず、SmallRigのSR-RG1とUlanzi TT38のサイズ比較。
見た目からしてUlanzi TT38の方が大きいのが丸わかり。
めっちゃ邪魔やんけって思われるかもしれませんが、そう思うのは早計ですよ。
というのも、TT38はワンタッチで三脚になるのは上でも書いていますが、通常のグリップの場合は左右の足を手で引き出す必要があります。
まぁこれは使っている人からしたら当たり前の事なんですが、当然ながら引き出すためにはグリップから手を離して、カメラを持って足を引き出すという動作が必要になりますよね?
更に大きな違いがここから!
通常のグリップだとほぼ肘を90度に曲げて持つことが多いので、首の部分はそのままか少し手前に角度が付いている程度だと思います。
で、カメラを持ち換えて三脚モードにした時に通常のグリップだと手前のような形になるはずなんです。
そう、三脚にした後にカメラの角度調整がほぼ確実に必要になってきます。
しかし、TT38の場合は元々がグリップから角度が付いた形でカメラが装着された形なので、脚を引き出すだけでそのまま三脚にして写真などを撮影することが可能になります。
なんか三脚にしたり戻したりするたびにあちこち持ち替えて角度とかを調整してたのが何だったんだろうと感じるレベルで手軽になります。
しかも三脚化はワンタッチなので、マジで便利。
流石にグリップに戻す時は手動ですが、右側の脚から回転させる感じで収納できるので手軽さも断然上でした。
そのまま使えばVlog用ハンドル
TT38はVlog撮影なんかがやりやすい角度が付いた状態でカメラを搭載できるので、基本的には普通に持つだけでカメラが正面に向きます。
その為、通常のグリップよりも無理のない感じにカメラを保持する事が出来ます。
※セルフで撮影しているので写真では手首が無理した感じになっていますが、普通に持てます。
通常のグリップだと腕をまっすぐに伸ばすか肘を折って顔の辺りに持ってくるかという感じになりますが、肘を45℃くらい挙げるだけでカメラが水平になってくれます。
流石にグリップの先端側を持つと重心から離れていくので重さを感じますが、持つ位置を上側にしていくと重さはそんなに感じなくなります。
感覚的には少しだけ肘から下を前にするだけなので、今までのグリップに比べると圧倒的に持つのが楽でした。
バリアングル出しながらだったら画面の確認も出来ますしね。
今回はSR-RG1に付属していたリモコンで写真や動画を撮影していたんですが、めっちゃ普通に撮れます。
カメラを手持ち撮影するのと違って、少しでも人間が近寄るかたちにはならないのでセセリ蝶も逃げませんでした。
因みに写真は全部α6700とE 16mm F2.8の広角な組み合わせです。
このリモコンってズームも出来るので、この便利さを知ったらE PZ 16-50mmが欲しくなりますね。
また、反対向きに持てばトップハンドルとしても使えます。
ケージを付けてカメラを上から吊るすのが一般的だと思いますが、めっちゃお手軽。
動画を180度回転させるだけで済みますしね。
人間の手って手を下げて普通に握ると、前に少し下がった前後に握ったものが出る感じになります。
通常のグリップで上下逆の撮影をしようとするとめっちゃ無理が掛かるので首の角度を思いっきり変えたりする必要がありますが、TT38だと普通に上下逆に持つだけでOK。
自然とカメラが正面に近い角度に向いてくれます。
あまりにも自然に持てるので、手を振らずに体の横にしてるだけでいいという状態になりました。
流石にその状態では様子を撮影できないので、少し手を前に出しています。
動画を撮ってみると地面に近くなるのもあって、地面が近くに入ってくるので、上下の揺れが分かりやすくなりますが、意識してゆっくり歩けば意外と楽に動画は撮れました。
写真に関しては完全にノーファインダーなので、水平が取れないですね。
ま、なだらかな坂になっている場所で気持ち腕が動くので水平はかなり難しい注文なんですが(;´Д`)
ジンバルだったらバランス調整を最初に行えば水平が取れますが、ジンバルではないのでこの写真のように水平を撮るとか動画時の振動軽減などといった事はできません。
あくまでも便利なグリップですからね。
トップハンドルにすると普通に持つだけで膝辺りの高さになるので、結構なローアングル写真が撮れるんじゃないでしょうか。
動物AFですれ違うわんことか撮ると楽しいかもしれませんね。
ワンプッシュで三脚化!驚きの展開機能
上で散々『ワンタッチで三脚になる』って書いていたんですが、ようやくその説明です。
Ulanzi TT38の本体には1つだけスライド式のボタンが搭載されています。
それがここ。
このボタンをスライドさせるだけで脚が展開されて三脚に切り替わります。
注意点としてはグリップの左側の部分から脚が展開されるので、三脚にする時には少しだけ握りを浅くする必要があります。
また、脚が展開される時には回転しながら出てくるので、周囲に気を付けながら展開するようにしてください。
という事で、ワンプッシュでこの状態になります。
仕様を見る限りだと、持っているグリップを含めて23cmの直径空間が必要なので、繰り返しになりますが、人が多い場所で不用意に展開してトラブルにならないようにしてください。
上の項目でも書いていますが、展開して三脚になったら基本的にはそのまま撮影に入れる状態になっています。
そのまま使っているのであれば自由雲台の首の角度調整なんかも必要ないので、準備時間がほぼゼロになるのはめっちゃ有り難いです。
最近は何処に行ってもほぼ混雑しているので、サッと準備してパッと撮れる軽快さは凄くうれしかったりします。
驚きの「隠し腕!」マンティスモード
もう一つのモードというのがマンティスモード。
TT38のグリップ裏面の底側に金属製のアームが隠されています。
これは普通に爪や指で引き出します。
アームを引き出すとこんな感じになります。
カマキリの脚のような形をしているフックを使用するので、マンティスモードと呼ばれているようです。
これを使用する事で、厚さ100mm以内の場所であればTT08を引っ掛けて使用する事が出来ます。
例えば和の家なら長押しのような場所やガラスやパイプの柵のような場所なんかにも取り付ける事が出来ます。
あまり厚さがあるとフックの引っ掛かりが甘くなってしまい、落下の可能性が出てくるので厚さ制限があるんですが、引っ掛ける時に心配ならば、本体底部にグリップ使用時の落下防止用にストラップホールが開いているので、そこに落下防止用のアイテムを併用する事をお勧めします。
また、あくまでも引っ掛けて固定する形なので、引っ掛ける部分には凸が必要になります。
凸のない場所だと滑ってカメラが落下する恐れもあるので、絶対にそう言った場所では使用しないでください。
それと、あくまでも固定するのはフックと三脚モードの2本の脚になるので、フックだけで足の固定が出来ないような場所であればマンティスモードでの使用は避けた方がいいと思います。
実際にマンティスモードを試してみた
自宅ではあまり試せるような場所が無かったので、外のフェンスで試してみました。
脚が固定できる場所になると意外と選択肢が少なそうに思えるかもしれませんが、放置するとかでなければ大丈夫かな。
ネット型のフェンスでも意外と安定しています。
流石に誰かがフェンスにぶつかったりとかすると、振動で脚がズレて本体がフェンス側に当たる→衝撃でフックが外れるという事が無いとは言い切れないんですが、こんな場所でも設置は出来る例と思っていただければ。
このままだとカメラが下を向く形になってしまうので、パンを使ってカメラの向きを180度変えます。
180度変えますといっておいてアレなんですが、自由雲台で変える事も出来るのでこれはどちらでもいいかも(;´Д`)
で、自由雲台のロックを解除すれば、レンズがあまり長くてレンズ側に重心が行くようなものでなければ自然と水平になるはず。
もしパンを使って回転させるのが面倒ならこの時点でカメラが反対を向いているはずなので、自由雲台を回転させてカメラを逆向きにするのでもいいと思います。
こういった場所だけではなく、長押や鴨居の上に溝があるような部屋であれば、部屋を俯瞰撮影なんて事も出来ます。
公式の使い方説明の動画にあるように出先で適当な場所に引っ掛けて自撮りなんて事も出来ますよ。
まとめ
積載重量が3kgとはなっていますが、バランスを考慮するのであればある程度小型のカメラとレンズになるはずなので、自撮り棒的に微妙な位置のものを撮るといった事にも使えそうですし、本来の使い方に限らず使い勝手はいいと思いました。
また、素材の耐久性を考えてこのサイズなんでしょうけど、雲台はそのままでもいいので、脚の展開の耐久性が担保できる素材でもう一回りくらいコンパクトになってくれたら持ち運びやすさもあって最高ですけど、カーボンを使うとかになってきそうで価格が今より高くなりそうなので、今のサイズが現状では最適解なのかもしれません。
グリップ自体のコンパクトさを求めるのであればターゲットとしては外れてしまうと思いますが、通常のグリップよりも楽にホールドできる点やワンタッチで三脚に出来る点、マンティスモードで手軽に壁掛け撮影が出来る事など、実用性と利便性をメインに考えるのであれば、かなり抜けた存在だと思うので、小型カメラで出掛けるのであれば持ち歩くのも十分にアリなのではないでしょうか。
自分のように従来の三脚化できるグリップの煩雑さや首の角度をいちいち変更するのが煩わしいと思っているような方であれば、確実に楽になったと感じるくらいの違いを感じられると思います。
寧ろ、今までにこういったグリップがなかったのが不思議に思えるくらいに便利なアイテムでした。
とりあえずリモコン併用でこのUlanzi TT38を使い倒していこうかなと思います。
Ulanzi公式サイトで購入する