世の中で数年前から「フィルムカメラが流行してる」って言われ続けていて、もしかするとフィルムカメラを始めてみようかなって思ってたりして、検索で辿り着いた方もいるかもしれませんが、誠に残念ながらここでは『フィルムカメラはオススメしない』という内容の事を記載しています。
おすすめのフィルムカメラなんかを探してて、これから始めようとされてる方にとっては全く何の情報も得られないかもしれませんが、何故オススメしないのかを書いてますので、もし時間があればご覧いただければと思います。
何故オススメしないのか
カメラをメインコンテンツにしているのにこれからフィルムカメラを始めようとされている方に対して「やめておけ」っていうのもどうなのかと思いますし、自分なら人の意見なんかあんまり聞かずに買っちゃう方なので、そんな人間に言われても説得力も無いとは思いますが、お勧めしない理由はいくつかあります。
主にお勧めしない理由の大きなポイントとしては以下の2点
・コストが高い
・写真が出来るまで時間が掛かる
そして、デジタルカメラじゃなくてフィルムカメラがいいと言われている大きなポイントは
・現像されるまで何が写っているか分からない
・デジカメが写り過ぎる
・価格が高い
といった辺りが良く言われている事だったりします。
なので、これらの点を細かく見て行こうと思います。
一応オススメのフィルムカメラ
ツンデレか!
って突っ込みたくなるかもしれませんが、自分のように以下を読んだとしても買うんだって方の為にオススメのカメラを書いておこうかなと思います。
基本的に失敗したくない方向け
・Nikon F100 (¥20,000~¥35,000)
1990年代後半に登場した当時のフラッグシップNikon F5の弟分で、F5と同じ機能を搭載しながら小型軽量・低価格を実現したモデルで、非Aiレンズ以外は全て使用できます。
当然AFも使えるし、プログラムAEも使えるので細かい事を考えなくて済みます。
測光方式と連写速度、ファインダースクリーンが交換できない以外はF5と変わらないのでフィルムで写真を撮りたいけど失敗したくないとかややこしいのが嫌な人にはオススメ。
ですが、もし「一生使う」つもりであれば多少高くても機械式のフルマニュアルカメラにしておけばメンテナンスで修理できるので、そちらの方がいいかも知れません。
・とりあえずフィルムで遊びたい方向け
富士フィルムの「写ルンです」
基本は押すだけ。
おっさんも子供の頃に発売されて、自分のカメラを買うまでは良く使ってました。
覗いて撮るだけのシンプル構造なので基本的には失敗しませんが、全く失敗しないわけではありません。
・最短撮影距離よりも近寄るとピントが合わない
・フラッシュをONにしてもちゃんとチャージが終らないとフラッシュが光らない
って辺りが多い失敗じゃないでしょうか。
今のやつは知りませんが、昔はフラッシュのチャージが終るとランプが点滅してたのでそれで確認できたんですけどね。
因みに27枚撮りフィルムのSUPERIAが1200円くらいで写ルンですが1800円くらいなので、フィルム一眼レフを買ってしまう前に写ルンですで試してみて(実際のプリントまで)を体験してみるのもいいと思いますよ。
ということで、ここからは何故フィルムカメラをオススメしないのかを書きます。
コスト問題
まず大きな間違いとしてあるのがコストに関する事。
ここでは一般的な選択肢となるレンズ交換式の一眼レフを選ぶ場合を想定しています。
フィルムをデジカメ換算すると・・・
ネガやリバーサルなどのフィルムによって多少の差はありますが、レンズの性能を考慮せずにスペック的なもので行くとフィルムの解像度は1300~1700万画素くらいです。
そう考えると、中古のデジカメでも全然問題ないという事がわかります。
因みにデジカメでは各メーカーの絵作りがされていますが、フィルムの場合はレンズ性能を考慮しなければどのメーカーのカメラで撮影しても同じ絵になります。
フィルム自体がセンサーなわけなので当然と言えば当然ですが・・・
そういった点を踏まえてコストの事を書いていきます。
デジカメは高い?
確かに最近のデジカメは特に価格が上昇しています。
シェア獲得や新規獲得の為のエントリーモデルでも10万コースになってきています。
とはいえ、本当にそんな最新機種が新品で必要ですか?って話なんですよね。
上の画素数的な事を考えると、5~6年前の中古デジカメでもフィルムカメラと変わらないわけです。
で、デジカメの価格が上がってるのはご存知だと思いますが、実はフィルムカメラの価格も爆上がりしてます。
ええ、爆上がりです。
上でオススメしたF100なんて6年くらい前なら完動の保証付きで2万を切ってました。
因みに大人気のNewFM2なんて今じゃ4~8万もするんですよ・・・完動の保証付きが3万でもいい値段だと思ってたのに・・・
で、現行品でもあるAPS-CのZ50の16-50mmレンズキットでも中古だと9.8万。
ぶっちゃけ保証がついてメンテされたNewFM2に中古レンズを1本買うのと変わらない値段になります。
10万コースはなぁって方には小型で使い勝手のいいOLYMPUS E-M10 MarkIII(1605万画素)本体が4万弱であります。
ぶっちゃけある程度保証のある物を買おうと思ったら中古のデジカメを買うのと変わらないという事実があったりするんですよね・・・
あと、デジカメはごちゃごちゃしてて難しいというイメージもありそうですが、細かい設定が面倒だったら普通に撮るだけで十分です。
パソコンを持ってるのならRAWで撮っといたら後から色々弄れて楽しいですよっていうくらいですかね。
フィルムにかかるコストが高すぎる
フィルムをガンガン使ってもっと作らせて価格を下げよう的な事を書かれる方もいますけど、ぶっちゃけ原材料の価格が上がってる時点で無理です。
現在のフィルムの価格が以下の通り
●モノクロ
コダック 36枚 ¥800
フジ ACROSSII 36枚 ¥1,200
●カラー
コダック カラープラス 36枚 ¥1,000
フジ SUPERIA PREMIUM 36枚 ¥1,600
店舗によって変わると思いますが、まぁこんな感じ。
対してデジカメはSDカード。
高速連写をしないのであればUHS-Iでも上等でしょうから、64GBのサンディスクだと¥2,000くらいで買えて繰り返し使えるので、PCなんかを持ってて落とすようにすれば¥2,000だけで数年は使えます(追加するならその分増えますが・・・)
そして、フィルムの場合は現像が必要になります。
現像代も地味に上がってたりするので、プリントも含めたら¥1,800/本くらいはかかるんじゃないかと・・・
仮にコダックの36枚を使ったとしても現像・プリントを含めたら1本あたり¥2,800が必要になります。
10本撮ったら¥28,000、100本撮ったら28万!
どれだけフィルムカメラを安くあげたとしてもこのコストは必ず乗ってきます。
因みに1枚単価は約78円。
デジカメだとデジカメプリントをした場合のみL判で30円くらいって感じなので、もう埋められないくらいの差があるんですよね・・・
自家現像すればコストは下がりますが、現像用の薬品の価格も上がってますし、さらにそこから自分でスキャンしてプリントすると手間とプリント代が乗ってくるので、実はお店で現像・プリントするのと大差ないんですよね(;´Д`)
スキャンだけで済ませればコストは下がりますけどね。
因みにフィルム100本だと3600枚、デジカメだといくらでも撮れるのでどちらがコスパがいいかは分かると思います。
自分のように気に入ったのだけA4とかでプリントするようなスタイルでもフィルム1本買うよりも遥かに安く済みますからね。
ぶっちゃけフィルムで300本くらい撮るつもりになれば、中古のライカM10と安いレンズが1本買えたりします。
仮に他に趣味が無くてフィルムカメラしかやらないとして、週に1本として年間52本、約14万5千円くらい掛かります。
2週間に1本としても年間で7万ちょっと掛かるので、それを2年使うと14万のデジカメを2年使うのと同じ結果になってしまうんです。
見た目が一眼レフなZfcのレンズキットも買えるし、Z50のレンズキットに40mm F2なんかの単焦点を追加しても14万くらいです。
後は撮り放題w
最初からデジカメを買って毎日使えば枚数換算してしまえば凄く安くなるし、失敗しても大丈夫だしやり直して練習できるので、よっぽど写真を楽しめると思うんですよね。
更に纏めちゃいますが、現像・プリントに掛かる時間も長いんですよ。
カラーだと1時間ぐらいでやってくれるお店は多いと思いますが、モノクロはラボ送りになるお店が多かったりするので、最短で当日含めて3日、長いと1週間くらい掛かると思います。
その1週間は楽しみに待てたりしますが流石にだんだんと面倒臭くなってきたりもしますw
デジカメが写り過ぎる問題
デジタルなのでそりゃそうだ。スマホだってそうだし。
なんならスマホの方がガッチガチにデジタル処理されてるからね。
っていうのは置いといて、写り過ぎるってのが何をさしてるのかにもよるんですよね・・・
スマホなんかは基本的に綺麗に見えるようにデジタル処理で解像度の方に振られてると思います。
そして明るいレンズとはいっても小型センサーなので、かなりボケにくいので写り過ぎる印象に。
デジカメの場合はメーカー自体の絵作りによって解像度よりかどうかもありますけど、F値が暗いキットレンズを使ってるから写り過ぎるって印象なんじゃないかと思う部分はあります。
キットレンズは基本的にズームなのでボケ難いからカッチリ写る感じになります。
それに対して単焦点の明るいレンズだとかなりボケるので柔らかい感じに。
どうしても硬い印象が嫌っていうのであればいわゆる中華レンズだとヌケが良くなかったりするので甘い感じの写りになったりするのでおススメだったりします。APS-C用のだと比較的に安いしね。
レンズによっては本当にデジカメの良さを殺すレベルで微妙な中華レンズもあるので、写り過ぎるってのも何とでもなるんですよね・・・
もちろん解像度が高すぎると思えばRAW現像でコントラストとか明瞭度とか色々弄れば下げれますしね。
因みに、イメージコントロールとかイメージプロファイルとか各社色々と呼び方がありますけど、今時でもないけど結構フィルムカメラで撮影したような写真を撮れるピクチャーモードも搭載されています。
モノクロでも粒状感を入れたりできるものもあるし、RAW現像でいくらでも自分の好みの写真に仕上げることが出来るようになってきたのでそこまでフィルムに拘る必要は無いかなぁ・・・って感じで自分はだんだんとフィルムカメラを使わなくなりました。
上で挙げたZ50に搭載されているピクチャーコントロールが見れるページです。
リンク先から各コントロールの適用前と適用後が比較できるので興味のある方はどうぞ。
どんな風に写ってるか分からない楽しみ
なんていうか、アンダー25歳くらいだと物心ついた頃にはもうデジカメとかそういった類のものが存在していたので、何が撮れるのか分かって当たり前なので、どんな風に写ったか分からないのが楽しみではあると思うんですが、結婚式にフィルムカメラで行って上手く撮れなかったとか、旅行に行って撮れなかったとかって地獄が当たり前だった時代を生きた人間からしたらある程度の結果が確認できるって天国みたいなもんですよ。
さらにはちょっとくらいアンダーで撮っても後から調整できるとかもう神かよ!ってレベルでw
失敗した事も思い出にはなりますが、やっぱり失敗しないに越したことはないですしね。
そうそう、中古で買ってフィルムを1本サービスで付けてもらったとしても、現像プリント代は自分持ちですし、そこで不具合があったとしても現像・プリント代は自腹です。
写ってなかったり、明らかに誤動作だと分かる場合はプリントしない良心的な店もあったりしますけど、ハズレかどうかの確認も自腹の場合が多いので、即撮影して即プリントで確認しないと、保証期間が短かったりすると返品できないという泥沼もあったりしますからね・・・買ったから今度の休みに撮りに行こうとか言ってる余裕が無かったりする場合もあるんですよ(´・ω・`)
ま、どう映ってるのか分からないのが楽しみっていうのであれば液晶をOFFにしておくとか、バリアングルの機種なら液晶を内側にしておくとかって感じでやり方は幾らでもあるし、なんならファインダー以外は見ないと決めて撮影後プレビューもOFFにしておけば一眼レフのフィルムカメラを使ってるのと同じ使用感にはなります。
まとめ
正直な所、自分もフィルムカメラは大好きです。
空シャッターではなくてフィルムを入れて巻き上げる時の感触とかがめっちゃ好きです。シャッター幕が横に走る感覚も好きです。
もちろん、数年前までのようにフィルム1本が400円くらいまでであればちょっと高いけどまぁ・・・って思えましたけど、中古のフィルムカメラが倍以上の価格になっていて、実際にやろうと思ったら異常なまでにコストが掛かるのが変わっているのに無理してまでやるものではないと思います。
それに今の価格のフィルムで何枚も微妙なアングル違いを撮るためにフィルムを何枚か使うとか勿体ないって思うので、みんなが使ってるからとか流行ってるからって理由でフィルムカメラを始めべきではないかなって思うんですよ。
当然ながらこれから先にもっとフィルム関係の価格は上がってくることが予想されるので、維持するのはもっと大変になっていくと思います。
今まで書いたように別にフィルムカメラでなくても写真は撮れるし楽しめるので、どうしてもレトロスタイルが欲しければZfcを買えばフィルムカメラと同じ操作が出来るし、マウントアダプターを使えば昔のレンズも使えるしね。
なんならMモードで使えば基本的にフィルムカメラと変わらないから面白さも変わりませんし、デジタルでもっと楽しむ方がいいんじゃないかなぁって思うんですよ。
ということで、異常にコストが高くなり過ぎたフィルムカメラを始めるくらいなら、先行投資にはなるけどデジカメを買って毎日使えば1年で余裕で元が取れるよって話でした。
ま、何を買うかは人それぞれでの自由ではあるので、こういった考え方もあるよって程度に思って頂ければ幸いです。