以前、Z6IIとZ5を持っている時に両方を比較してみましたが、今回はDX機の2機種を実際に使用しているのでスペック的な物から個人的な感覚なんかまでを含めて比べてみました。
まぁZfcはどちらかというと孤高の存在的な外観なので、見た目が気に入って購入する人はZfc一択なんでしょうけど、入門用カメラとして考えた時にはどちらがいいのかという点での比較だと思っていただければと思います。
とりあえずスペック的な比較
まずは現行3機種のスペック比較・・・なんですが、基本的に大きく変わる部分はありませんので、大きく変わるところをピックアップしています
機種 | Zfc | Z30 | Z50 |
ファインダー | EVF、0.39型XGA OLED、約236万ドット | 非搭載 | EVF、0.39型XGA OLED、約236万ドット |
液晶 | バリアングル | ← | チルト |
シャッタースピード | シャッタースピードダイヤル使用時:1/4000~4秒(1ステップ)、Bulb、Time、X(フラッシュシンクロ) メインコマンドダイヤル使用時:1/4000~30秒(ステップ幅:1/3、撮影モードMでは900秒まで延長可能)、Bulb、Time、X(フラッシュシンクロ) | 1/4000~30秒(ステップ幅:1/3) Bulb Time | 1/4000~30秒(ステップ幅:1/3、1/2に変更可能) Bulb Time |
露出モード/撮影モード | オート プログラムオート シャッター優先 絞り優先 マニュアル | オート プログラムオート シャッター優先 絞り優先 マニュアル ユーザー設定:U1~U3 | オート プログラムオート シャッター優先 絞り優先 マニュアル シーンモード スペシャルエフェクトモード ユーザー設定:U1~U2 |
内臓フラッシュ | なし | なし | 搭載 |
動画最長記録時間 | 29分59秒 | 125分 | 29分59秒 |
撮影可能枚数 | ファインダーのみ:静止画:約310コマ/動画:約80分 モニターのみ:静止画:約360コマ/動画:約80分 | 静止画:約330コマ 動画:約75分 | ファインダーのみ:約280コマ モニターのみ:約 320 コマ 動画:約75分 |
USB | Type-C端子、USB給電 | ← | Micro-B端子 |
サイズ | 約134.5x93.5x43.5mm | 約128×73.5×59.5mm | 約126.5x93.5x60mm |
重さ | 約445g 約390g(本体のみ) | 約405g 約350g(本体のみ) | 約450g 約395g(本体のみ) |
形状が違うので重さやサイズが違うのが大きな違いにはなりますが、細かいところを見ていくと微妙な違いが出てきます。
Z30:EVFがなく、動画撮影時間に30分の壁が無いので、主に動画向けの位置づけ(と思われがち)
Z50:フラッシュ内蔵でシーンモードなどを搭載した入門用(と思われがち)
Zfc:クラシックスタイルのレトロデザインDX機(と思われがち)
思われがちってなんやねん?って思われるかもしれませんが、その辺りをちょっと説明します。
実は現行モデルだと入門機はZfc
Z50はフルサイズ機と同じチルト液晶を搭載しています。一方のZfcやZ30はバリアングル液晶を搭載しています。
どちらの液晶方式が優れているというのはありませんが、縦アングル(特に低位置や高位置)での撮影が多い人にはチルトよりもバリアングルの方が自在に動かすことが出来るので、自分的にはZ30やZfcの方が確実に扱いやすいです。
Z9もチルト方式ですが多軸で左右にも振れるので、スタンダードな状態以外での縦アングルだとZ50と同じ通常のチルト方式であるZ6IIが一番撮りにくいと感じています。
まぁこの辺りはスマホと連動させてリモート撮影とかでカバー出来たりもするんですが、Z50には致命的な弱点があります。
それはUSB給電に非対応な事
ZfcやZ30は最悪の場合でもモバイルバッテリーを繋げば撮影を続けることが出来ますが、Z50だとモバイルバッテリーで充電は出来ますが、給電は出来ないのでバッテリーが切れると充電できるまで撮影が出来ません。
いやいや、そこまでバッテリーなんか減らないでしょ?って思われるかもしれませんが、これが意外と減るんですよ。
動画撮影をせずにAFをピンポイントやシングルポイントのAF-Sにすれば、多少連写をしたりしても思ったよりも消費しません。
実際にZfcと予備バッテリー1本を持って東京に行った時も上記の状態だったら、普通に朝に出て適当に写真を撮りながら動いて、夕方くらいにバッテリーが赤点滅って感じでした。
しかし、これがZ30を始めて持ち出した岡山旅行では動画メインにしたためにバッテリーなんて半日もちませんでした。
歩きながらずっと撮ってたりしたら2時間くらいでバッテリーが無くなるんじゃないでしょうか。
また、AFをAF-AにしてダイナミックAFにしたり、AF-Cを使用すると確実にバッテリーの減りが速くなります。
そんなわけで、動画を多用したり動き物を良く撮るとかしてくると、モバイルバッテリーでの運用が必須になってきます。
しかしながら、Z50ではUSB給電が使えないため、そんな環境で使い続けようと思ったら予備バッテリーを2本くらいは持ってないと厳しいという感じになってきます。
そう考えると、Z50よりもZfcの方がマルチに使えるスタンダード機だと思いませんか?
そんなわけで自分はZ50を買うのであればZfcの方をお勧めします。
ZfcとZ30の比較
スナップしやすいのはZ30
標準レンズのNIKKOR Z DX 16-50mmを付けた重さはZfcが580g、Z30が540gという感じでどちらも600mlの麦茶1本以下の重さだったりします。
ですが、数値以上に違う部分としてデザイン的な部分があります。
Z30には見た目で分かるくらいに大きなグリップが設置されています。
DX 24/1.7もDX 16-50mmと同じ重さなので持った感じは同じなんですが、大きなグリップのお陰で力を入れなくても持ちやすく構えやすいという利点があります。
写真ではベースプレートを付けてますが、普段使いならなくても全く困らないので、所謂「標準状態」でそのまま快適に使えます。
V-LOG機としてみた時にはこんなに大きなグリップ必要なくない?って思われそうですが、写真メインや写真と動画の両方を撮るのであればかなり強力な武器だったりします。
一方のZfcはクラシカルデザインなのでグリップ部分はつるぺた。
片手で取り扱おうとすると、かなりガッチリとホールドしないといけないので、グリップベースがある方が扱いやすいと思います。
ただそうなってくると、若干重くなったり大きくなったりするので、その辺りも考慮する必要があります。
ZfcでもAやオートにすれば手軽にはなりますが、やはり片手運用のやりにくさは如何ともしがたいなと。
なので、基本的に右手オンリーで操作が完結するZ30の方が軽快なスナップ撮影なんかには向いていると自分は考えています。
EVFが無いのはマイナスにならないのか
Z30にはEVFがありません。
そのため、やたらと明るい場所なんかでは液晶画面が見えなくて詳細情報が分からないといった場面が発生しますが、これはZ30に限らずEVFレス機ならすべての機種に該当する事なのでどうしようもない事です。
日差しを遮りながら液晶を見るか、いっその事外付けファインダーを使ってピント合わせは全てカメラ任せというのもアリかと思います。
フルサイズ換算で36mmなので、35mm辺りのビューファインダーがちょうどいいでしょう。
また、Z30にはレンズマウント右側面にFn1、Fn2の2つのカスタムボタンが装備されています。
これは設定画面の中でボタンに機能を割り当てることが出来るんですが、Zfcでは写真のように1つだけになっています。
自分は全ての機種で撮影結果をプレビューしやすいようにFn1に画像再生を割り当てています。
これで左手で再生ボタンを押さなくても片手で操作が出来るからです。
Z30の場合は再生ボタンが右下に配置されていますが、片手操作だと親指だけを右下に持っていきにくいのでFn1に割り当てています。
で、Fn2には拡大プレビューを割り当てています。
拡大することで、EVFレスのZ30でもピント面の確認が確認しやすくなるので、意外と思われるかもしれませんがEVFレスでもそこまで不便を感じないんですよね。
何気にZシリーズは自分の扱いやすいようにカスタムしてナンボな所もあるので、変更できるボタンはどんどん変えていっちゃってもいいかもしれません。
因みに自分は親指AFを使用しているので、Z30もZfcもAE-L/AF-LボタンにAFをセットしています。
Zfcだと写真撮影の時にはFn2ボタンの代わりに動画撮影ボタンに他の機能を割り当てるのもありかもしれませんね。
という事で、Z30でも今までEVFが無い事によるストレスは一切感じたことが無いので、EVFが無いから写真撮影には向いていないという事は一切ありません。
寧ろ小型・軽量なのでスナップシューターとして使用したい方には最適なZだと思います。
スナップ以外ならZfc
キットの標準ズームや小型単焦点レンズを使ってスナップに使うのであれば圧倒的に機動力に優れたZ30の方がいいと思いますが、NIKKOR Z DX 18-140mmやDX 50-250mmなんかの望遠寄りのレンズを使う機会が多いのであればZfcの方がおススメだと思います。
まぁ慣れてしまえばZ30でもしっかりホールドしたり、肘をどこかに固定して液晶を見ながら撮影したりすればちゃんと撮れますが、どうしてもファインダーを覗きながら構えるよりも肘の開く角度が大きくなるので、液晶を見ながらの望遠撮影は思った以上にブレやすくなってしまいます。
その点、EVF搭載のZfcであれば、肘をしっかり曲げて固定することになるので、安定感が増してブレにくくなります。
まぁ追々レンズを買う時に考えてもいいのかもしれませんが、最終的なビジョンみたいなのも持っておくとカメラを選びやすくなると思います。
ZfcとZ30で大きく変わるのは撮影体験
冒頭で『思われがち』って事を書きましたが、ニコンが想定しているようなカテゴライズほど実際にはそこまで大きな差ではないんですよ。
動画用として使うにしても、30分以上の連続動画撮影をしないのであればZfcでも問題ありませんし、写真を撮るにしてもZ30から出てくる写真はZfcで撮ったものと何も変わりません。
そういった意味合いで行くのであれば、見た目ほどの性能差はなくて、ZfcとZ30のどちらを購入したとしても何ら問題はないと思います。
ただ、ZfcとZ30の両方を使ってみて感じたのは、「撮影体験が大きく異なる」って事でしょうか。
EVFがない時点で違って当たり前じゃんって言われそうですが、上でも書いたように、Z30はZfcに比べるとよりカジュアルに、手軽に撮影する事が出来るので、本当に気軽に使いたい時はZ30を、フィルムカメラのようにMモードでダイヤル操作をすることで、カメラの操作を楽しみながら写真を撮ったり、カメラの使い方を勉強していきたいとか、EVFを覗きながらじっくりと写真を撮りたい時にはZfcという感じで、全く違うスタイルになってきます。
この辺りは公式HPやカタログを見たり店頭で触るだけじゃあんまり分からない部分だったりするので、ZのDX機を買おうとされている方は参考にしていただければと思います。
まとめ
まぁどれを買っても慣れれば問題ないんですけど、自分がどういった使い方をしているのか、またどういったところまでのレンズを使うつもりなのかを考えて選ぶのも全然アリだと思います。
もし普段使いからの延長でレンズを増やしていく感じなのであればZ30を選ぶのもいいと思いますし、フィルムが高くなりすぎたからレトロカメラの操作感を楽しみながら写真を撮りたいとか見た目が気に入ったって方ならZfcでいいでしょうしね。
そんなこんなでZfcとZ30の比較でした。