去年の8月10日辺りに買ってから、気が付いたら一番稼働率が高いカメラなのにレビューらしい記事を書いてなかったなと思ったので、14ヶ月の間実際に使用した長期レビューをしてみようかと思います。
Nikon Z30はどんなカメラ?
Z30はニコンのZマウント機の中で最小・最軽量の機種で、重さは405g、標準キットレンズのNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRと組み合わせても540gという軽さです。
Nikon Z30レンズキットを買ってしまった
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見た目とかは上の購入時の記事を参照していただければと思います。
動画撮影機能はフルHDの24p/25p時に最長125分までの長時間撮影が可能で、最高画質は4K UHDをクロップなしで撮影する事が出来ます。
別売のSmallRig 3070トライポッドグリップとニコン ML-L7リモコンを併用することで手軽にVlog撮影やリモート撮影が行えます。
クロップなしで動画撮影が出来るのは地味に便利なのもあって、ニコンがVlogカメラという部分を前面に押し出して販促をしているのも分かる気がします。
ニコンのアピールがVlogを推していることもあって、動画用カメラだと思われがちな部分はありますが、実は写真用としても十分すぎる機能を持っています。
小型軽量なボディはレンズによっては持った時のバランス感がかなり悪くなるんですが、Z30にはガッチリとしたグリップが採用されています。
そのため、フルサイズ用のレンズを付けてもハンドリング性が損なわれることはあまりありません。
動画もやりたいけど写真もやりたいって人の希望に十分にこたえてくれるカメラになっています。
他のDX機と比べてもデメリットは少ない
ニコンのAPS-Cセンサーを搭載したDX機はZ50、Z30、Zfcの3機種がラインナップされています。
以前もこのブログのどこかに書いたんですが、どの機種を選んだとしても基本的な部分は変わりません。
それぞれの欠点としてはZ30はEVFがない、Z50はUSB給電できない、Zfcはプログラムオート以外はISOオートがややこしいという感じです。
どの機種にもボディ内手ぶれ補正は搭載されていないので、見た目で選ぶのも全然アリでしょう。
バッテリー1本でも意外と写真撮影なら問題ないんですが、NIKKOR Z DX 50-250mmを使った時は手ぶれ補正が仕事をしまくるのかバッテリーの減りが早い気がするのと、動画を撮るとバッテリーの減りは速いので、予備バッテリーを持つかUSB給電が出来る方がいいと思います。
USB給電が出来る機種はZ30とZfcですが、手軽に使えるのはZ30の方が上かなと思います。
Z30はVlog用途に向けたカメラとなっているのもあって、EVFが搭載されていませんが、EVFが無いデメリットといえばモニターでの確認しかできないという点。
ですが、マニュアル撮影をするような場面でなければEVFを使って確認をする必要もないので、実質的なデメリットはあまり感じません。
実際、ローアングルとかしゃがんでの縦アングルなんかだとEVFがなくてもバリアングルモニターの方が使いやすかったりしますしね。
不得意な撮影場面
デメリットが少ないとはいえ、全くないわけではありません。
EVFレスなので、液晶で確認しながらフルサイズ向けの望遠レンズで手持ち撮影しようとすると、結構身体から外して構える必要があって、持ちにくく安定しない感じになります。
なので、手持ちでそれなりに気軽に使える望遠レンズはDX 50-250mmくらいがボーダーじゃないかと感じます。
TAMRON 70-300mmでも撮影できますが、肘などをしっかり固定できる場所でないと厳しいと思います。
その点を除くと、手ぶれ補正が無いとかシャッター速度が1/4000秒までというのはニコンのDXセンサー搭載機共通仕様なので、Z30だから駄目だというデメリットはほぼ無いという感想になるわけです。
軽量なので万能なスナップシューター
Zfcはどちらかというと昔ながらの操作性を楽しみながら撮るカメラというスタイルですが、Z30を写真用のカメラという使い方で考えた場合は完全にスナップシューターだなと思います。
自分は主にDX 16-50mmかDX 24mm f/1.7を付けていますが、Z 40mm f/2も時々つけたりします。
じっくりと考えながら撮るよりも、軽快な使い方の方が合っているカメラだと思います。
Z30を買うならDX 12-28mmのレンズキットがおススメで、その先はDX 18-140mmか DX 50-250mmでもいいんじゃないかという記事も書いたんですが、意外とDX 16-50mmって使い勝手がいいんですよ。
持ち運び時にはコンパクトになるし、座りながら食事もとれるし、50mmだとフルサイズ換算で75mmになるので、意外と猫を取ったりするのにも使えますし。(SNSなら多少トリミングしても大丈夫だしね)
NIKKOR Z DX 12-28mmを買ったら基本的にはそれを付けっぱなしにするだろうなとは思うんですけど、それはそれとして持っておくと重宝するレンズではあります。
基本的にはシングルポイントAFのAF-Sでピントを決めて撮影しますが、ワイドエリアとかのAF-Fなんかにしておけば、難しい設定もなくすぐに撮影できます。
昼間だったら特別意識をしなくても軽快な撮影が出来るので、お散歩や通勤時の常用カメラとしても最適だと思います。
α6700を併用しているのは手ぶれ補正が大きな部分ではあるんですが、実際に使ってるとUIの使い勝手としてはニコンの方がシンプルだと感じます(慣れもあるかもしれないけど)し、ピクチャーコントロールも自分の好みなものが多いのもあって使っています。
もし、ニコンの色味が好みの方ならば、購入すれば十分満足できると思います。
【Nikon Z30】カスタムピクチャーコントロールもひと段落
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また、ピクチャーコントロールを自分なりの味付けでカスタマイズできるカスタムピクチャーコントロールも9個まで登録できるので、明瞭度を落として彩度を上げたりとか、ピクチャーコントロールの適用度を下げて好みの雰囲気にもっていったりも出来ます。
因みに、作成したピクチャーコントロールはSDカードに書き出しも出来るので、他のカメラに同様に取り込んで反映させたり、NX StudioのV1.5.0以降であればNX Studio自体ピクチャーコントロールを取り込んでRAW現像時に反映させるといった事も出来るようになるので、Zシリーズはかなり自由度の高いカメラになっていると思います。
センサーサイズによるボケにくさ
唯一の欠点というか難点とするとフルサイズに比べてボケにくいという点でしょうか。
DX 24mm f/1.7以外は全てズームレンズで暗めなものが多いので、ボケを活かした写真は撮りにくいかもしれません。
DX 50-250mmなどで引き寄せ効果を使って撮るか、出来るだけ被写体に寄って後ろをボケるように頑張るかって感じになってきます。
とはいえ、ミラーレス機になって意外と寄れるレンズが多くなっているので、F3.5スタートでも意外とボケるという感もあります。
最近だとシグマの16mm/30mm/56mmのf1.4 DC DNシリーズがZマウントで発売されたので、そちらも視野に入れれば、ボケを活かした広角寄りの撮影やポートレート撮影も楽になってくると思いますが、開放F値が小さいレンズで開放で撮ってると、被写体の前後すぐからボケていっちゃうので、F2.8くらいでも十分なのかもしれません。
ボケにくいと書きながらも、ボケるからいいってわけでもないという矛盾したはなしですね・・・
Z30は初めての方でもサブカメラとしても優秀な万人向けのカメラ
ここまでZ30はVlogだけじゃないという事で記事を書いてきましたが、具体的にはどういった人向けなのかというのを考えた場合、この見出しのような感じになりました。
上のデメリットの部分で書きましたが、EVFレスにより飛び出た部分がほぼ無い事、鞄にも入れやすく携帯性に優れたカメラである事、ローバッテリー時にはUSB給電が出来る事など、かなり利便性が高いカメラになっています。
また、他社の場合は小型・軽量化の為にグリップの幅が薄くて持ちにくい機種もあったりしますが、Z30のグリップはフルサイズのZと遜色のない感じでシッカリと持てる大きめのグリップを採用しています。
しかし、手が小さい方でも持ちやすいグリップなのと、フロントのFnボタンをカスタマイズすればほとんどの操作が片手で完結できるようになって取り扱いにも優れたカメラになるので、初めて購入される方~中級者までなら十分に1台でカバーしてくれるカメラになっています。
一方、ハイエンドカメラに慣れてしまった人にとってはAFや被写体認識などで物足りなく感じる面は否めないと思いますが、ハイエンドカメラは大きかったり重かったりするので、何の目的もないとかちょっと出る時に持っていく気がしないんですよ。
その点、Z30にDX 16-50mmだとペットボトル1本分くらいなので、流石にコンデジと同じとまではいきませんが、常用カメラとして取り扱える他に、緊急用のサブカメラとしても十分に役立ってくれるカメラだと思います。
Vlog用カメラとしてみた場合
ボディ内手ぶれ補正が搭載されていないため、手ぶれ補正はレンズに搭載されている場合のみ使える感じになります。
手軽に使えて写りも悪くは無いので、入門機としては申し分ないんじゃないかな。
4K 30pまでしか撮れないからどうこう言われたりもしますが、個人で普通に使うレベルであれば4K 30pで充分かなと思います。
実運用としては気温36度の真夏の炎天下(直射日光にカメラが当たってる状態)で動画を撮り続けてると、20分くらいで熱が籠り過ぎてオーバーヒートしたので、そういった場面ではカメラ自体にフードを付けて熱を日差しを遮蔽するなどの対策が必要でしょう。
そして、Z30に限った事ではありませんが、歩きながらのVlogとかになると、グリップを使ったとしても上下のブレが気になったりします。
ジンバルを使えばほぼ解消されますが、趣味的な部分でそこまでやる必要があるのかって話にもなってきますし、とりあえずグリップだけは用意される方が安定感は増すのであれば便利になると思います。
手軽に動画も写真も扱えて持ち運びやすいというのは大きなメリットですし、Vlogでなくても、ちょろちょろっと動画を撮って組み合わせれば簡単なショートムービー的な動画も作れますしね。
因みにVlog用として使うのであれば、Z DX 12-28mmを標準レンズとして考えて、16-50mmか18-140mmを併用って感じがいいんじゃないでしょうか。
DX 12-28mmはパワーズームを搭載しているので、本体背面の+-ボタンやリモコン(ML-L7)でズーム操作が行えます。
他のレンズだと手動でのズーム操作になるので好みの画角になるまでにズームリングを持ち直さないといけない場合などにカクツキが発生したりするので、画角的に問題が無いのであればDX 12-28mmを基本にする方がいいでしょう。
もし、リアルタイム配信とか長回しの自撮りVlogなんかをするのでなければ、上でも書いたようなショートムービー的なものを繋ぎ合わせた動画を作るのであれば、どのレンズであろうが関係ないので、お好きなレンズでいいと思います。
仮にYouTubeやSNSでシェアをする目的ではないとしても、出掛けた時に適当に動画を撮っておくと、後から振り返ってみた時に写真とはまた違った感じで思い出せるので、高画質&手軽に動画を撮れるのは便利だなと感じることが多いです。
Z30を買ってなかったらZfcは買ってなかったと思う
元々がZ5、Z6IIというフルサイズで揃えていっていたので、DX機を買う気は無かったんですよ。
しかし、Z30を店頭で触ってみると、コンパクトさと軽さがずば抜けてました。
そして、フルサイズに比べると比較的小ぶりなレンズが多い(マウント径が大きいので小さくはないけど)ので携帯性もいいなと。
LUMIX G100ではやらなかった動画もやってみようと思って買ってみたZ30が予想外に使い勝手が良かったんですよね。
そこから少しずつDX用レンズを買い足していったのもあって、Zfcのブラックが出た時に追加しちゃったという経緯があります。
もしZ30を買っていなかったら、クリムゾンレッドが刺さったとはいえ、Zfcを買う事もなかったんじゃないかなと思います。
万が一Zfcだけを買っていたとしても、携帯性や使い勝手の面を考えると、マウントアダプターでオールドレンズを使って終わりって感じだったような気がします。
そう考えると、あんまり意識せずによく持ち出して使ってたけど、Z30は自分にとってはかなり気に入ってる機種なのかもしれません。
まとめ
冒頭でも書きましたが、Z30はVlog向けとされていますが、Zマウント機では最もリーズナブルで入門用としては最適な機種かもしれません。
そう考えると、仮にZ30から入って上のクラスを買ったとしても、併用は十分に可能なんじゃないかな。
フルサイズだと価格的にZ5でしょうけど、Z30でも十分にZマウントの良さは体感できると思いますし。
性能が突出しているとかでもないし、所有欲としては決して高くないカメラだとは思いますが、動画も写真も色々とカバーできるお手軽なカメラで、実用性としてはかなり抜けた存在だと思います。
実際にこの1年2か月で一番稼働率が高かったのがZ30だった事を考えると、実用しやすいカメラだったんだなと思いました。
そんなわけで、Zマウントの箸休め的なサブカメラとしても、デジカメ入門用のZマウント機としても、十分に活躍してくれるカメラだと思います。