先日購入したVILTROXのZマウント用のオートフォーカスレンズ、AF 20mm F2.8をNikon Z6IIに装着して使ってみました。
前回は購入報告と室内で軽く使って最短撮影距離なんかをみた感じだけだったので、今回は屋外で使用した感想です。
約2.3万円という低価格なのにオートフォーカスが効くレンズの使い勝手を見ていきたいと思います。
はじめに
本当なら朝には雨が上がっている予報だったんですが、生憎の曇天で雨が残っていてぱらぱらしている微妙なコンディションでした。
今回はNikon Z6IIにVILTROX AF 20mm F2.8を付けて、傘を差した状態での片手撮影(ホームでの電車の写真より上)だったり、普段と同じような感じで適当に撮影して行ったりしています。
比較用にLightroomモバイルで自動補正を掛けた1枚以外は全てホワイトバランス:Auto0、ピクチャーコントロール:スタンダードで撮影したJPEG撮って出し写真で、サイト用に長辺を960pxにリサイズだけ行っています。
VILTROX AF 20mm F2.8は使い勝手がいいレンズ
AFが使え、片手でも楽に扱える軽さ
VILTROX AF 20mm F2.8は約173gという軽量なレンズになっています。
その為、Nikon Z6IIで使用すると約880gという比較的軽いフルサイズになります。
自分が所有しているZマウントの広角レンズだと比較対象はNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sになりますが、重さが485g、沈胴時でレンズ長が85mm(AF 20mm F2.8は60.8mm)という事を考えると、軽さ以外にも取り回しの良さが挙げられます。
実際にそこそこ雨量のある霧雨が降っていたんですが、傘を差したまま片手で少し手を伸ばして撮影するといった事も楽に行えたので、使用感としてはNIKKOR Z MC 50mm f/2.8やNIKKOR Z 40mm f/2を使っている時とほぼ変わらない感覚でした。
AF速度についても決して遅いわけではなく、NIKKOR Z 26mm f/2.8よりも全然速いので、実用上は全く問題ない感じでし撮影が出来ました。
20mmでも十分かもしれない
自分がお寺とか神社とかに行くときには、他にレンズの選択肢が無いのでNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sを持って行くしかなかったんですが、実際に使用する焦点距離と言ったらほぼ14mmなんですよね・・・
ただ、建物全体を写したいと思っても、下がれない場所なら14mmでも全然入らないことが多かったりします。
逆に下がれる場所なら20mmでも24mmでも気にせず撮れるわけで、そういった事を考えると、割り切った形で使えるコンパクトな広角レンズが欲しいなと思っていたわけです。
キヤノンのRF 16mm f/2.8くらいのコンパクトさなら嬉しいんですが、ニコンはそういった系統は出してくれそうにもなかったですし、14mmに比べると比較的歪みが少ない焦点距離だったら20mm辺りかなと思っていたので、VILTROX AF 20mm F2.8はまさに考えていた部分にハマる感じでした。
敢えて知らない場所で撮るよりも普段撮っているような場所で試し撮りをする方が自分としては分かりやすいかなとおもって使用してみたわけですが、91.6度の画角は意外とスッキリした感じで扱いやすく感じました。
普段使っているレンズからすると十分に広いですし、ガッツリと超広角が必要という状況でなければAF 20mm F2.8でも十分じゃないかなと思います。
VILTROX AF 20mm F2.8の写り
絞り開放で最短撮影距離だと少し癖があるかも
上の写真を撮った時のまま忘れていたのでF値が5.6のままですが・・・(;´Д`)
最短撮影距離で撮影しています。
一つ上の写真を見ると遠景だとそんなに周辺は気にならない感じですが、最短撮影距離で撮ると周辺に行くほど流れていく感じが強くなります。
周辺に配置されている被写体にもよるとは思うので、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。
そもそも20mmの広角で最短撮影距離まで寄って花とかを撮る人がどれだけいるのかって感じですし。
また、カメラの背面液晶で見るとボケがぐるぐるしてる感があったんですが、PCなんかで見ると実際にはそこまで気にならない感じですね。
色味が薄くなるなんてこともなく、写りそのものは問題ないかと思いますし、上の写真で別に普通だと感じるのであれば、十分選択肢になるんじゃないでしょうか。
周辺減光
F5.6で撮影した写真ですが、周辺減光は気にならないレベルになっています。
普段の角度から撮ろうと思ったら遠すぎて、寄って行ったらこんな感じになりました。
F2.8だとガッツリと周辺減光が出ます。
別にVILTROX AF 20mm F2.8がダメってわけではなく、NIKKOR Z 26mm f/2.8もガッツリと周辺減光が出るので、比較するとそんなに差がない感じかなと思います。
そもそも広角レンズなので仕方がないところじゃないでしょうか。
解像感としてはZマウントの純正レンズのようなカリカリな写りではないんですが、低価格な中華レンズである事を考えると、かなりシッカリと写っていると思います。
実用するのであれば全く問題のないレンズといった感じがしますね。
上の写真をLightroomモバイルで自動補正を掛けてみましたが、周辺減光に関しては手動で周辺減光補正を+5くらい掛ける方がいいかもしれません。
曇天での写真だと上の写真のようにガッツリと出る感じになりますが、晴れた日だとイメージが変わるかもしれません。
上の写真は小雨が降る時に撮影したものでしたが、晴れた日に絞り開放で撮影してみるとこんな感じになりました。
上と同じようにLightroomモバイルで自動補正を掛けましたが、そんなに気になる周辺減光はみられません。
昼間のようなしっかりとした光量がある場面ならそこまで気にせずに使えそうですし、周辺減光が好きな人なら全く気にする必要がないレベルの出方なんじゃないでしょうか。
ちゃんと絞れば周辺減光もそれなりに抑えられますし、色々と楽しめて美味しいんじゃないかなぁと思います。
広角レンズによるアオリ時の歪み具合
どうしても建物なんかを撮る場合は煽る感じになるかと思います。
手前の三角形になった屋根と後ろの高台の重なったあたりにピントを合わせています。
左側が撮影したままの状態で、右側がLightroomモバイルでジオメトリの自動補正を掛けて真っすぐにしたもの。
真っすぐは真っすぐなんですが、元の写真の方が見慣れている感もあるので、補正を掛けた方が違和感を感じてしまったりしてます。
こういった部分に拘るならティルト&シフトレンズを使うとかした方がいいような気もしますが、この辺りは個人の好みなので何とも・・・
まぁ補正を掛けたらどれくらい切れるのかの参考程度に見て頂ければいいかと思いますが、ぐにゃぐにゃな歪みではないので、普通に写真を撮って楽しむのであれば十分なんじゃないかなと思います。
撮影してみた写真
F2.8で撮影したキイロツメクサの花です。
キイロツメクサが一面に咲いていたんですが、後ろの方はボケてしまって良く分からなくなっています。
空なんかだと周辺減光も気になりますが、こんな感じだったら絞り開放でもあまり気にならないんじゃないでしょうか。
小雨の中で手を伸ばして中央右下のキイロツメクサにピントを合わせに行ってますが、片手でも十分ピント合わせも出来ています。
軽いので手を延ばすのも全然楽。
あんまり綺麗なツツジが無かったのでとりあえず撮ってみた感じ。
やっぱりフルサイズで20mmだとかなり大きく余白が取れるので、色々と撮り易いです。
前にAPS-Cの20mmで撮った時に比べたらフルサイズだと一目瞭然で違います。
フルサイズの20mmだと結構広いかなと思っていましたし、実際に広いのは広いんですが、こんな感じでザックリとした景色を撮るんだったら20mmでも十分なんじゃないでしょうか。
引きすぎない事で主体も分かりやすくなりますしね。
いつもの場所からやってくる特急列車を撮影。
α6700+E11mm F1.8(フルサイズ換算16.5mm)と比べると小さな差ではあるんですが、広角の3.5mmという差は数値以上に大きいので、普段使いとして使うのであれば20mmの方が使いやすいと思いました。
こういった写真だと広く写る分だけ被写体となる電車が遠く感じる事になるので、丁度いいバランスな気がします。
価格的な事から考えても、このAF 20mm F2.8からワイドレンズに入っていって、もっと広角が必要ならNIKKOR Z 14-30mmとか他のレンズという流れでもいいのかなと思います。
APS-CのクロップアリでもいいのならNIKKOR Z DX 12-28mmでもいいのかもしれませんね。
ホームに入線してくる回送列車を撮ってみましたが、奥にも手前にもかなり余白が作れますね。
電車が並んでいる様子や街中でのスナップでも扱いやすいんじゃないでしょうか。
という事で、歩きながらスナップを撮っている時に見つけた穴の開いた壁から生えている草
どうしてこうなったって感じですね。
20mmになると狭いアーケードの片方に寄って写真を撮っても、反対側のお店が近い位置から写せてしまいます。
カメラを縦持ちしてローアングルから撮影してもいいかもしれませんね。
雨でライトが点いていたので、思っていたいつもの薄暗いイメージじゃなかった・・・(;´Д`)
寄れるとはいってもやっぱり広角レンズなので、多少の引きで撮るなら沢山ある方がまとまりがあります。
F2.8なので、こういった感じで後ろにもわさっと花が咲いていたりする場所だったらかなりいい感じになりますね。
逆に植込みなんかで1本だけ咲いている花とかになるとちょっと難しい感じになりますね。
流石に縦アングルにしても撮って出しだとちょっと厳しいかなぁ・・・
とはいえ、SNSにアップする程度であればトリミングで何とかなるくらいにはしっかりと写ってます。
そもそもこういった感じだったらDXクロップして寄せてやればいいだけなんでしょうけどね。
鈴蘭を植えている場所があったので、飛び出していた1本の一番上の花にピントを合わせて撮ってみました。
やっぱりAPS-Cと比べるとボケてくれますね。
上の写真のピント部分辺りから、それらしい感じで切り出してみましたが、長辺1800pxくらいあったので950pxに縮小しています。
トリミング&リサイズのみなので補正などはしていません。
2.3万のレンズでこれだけ写っていれば、実用性は十分なんじゃないでしょうか。
互換性の面について
AFが使えるとはいえ、正式ライセンスかどうかが分からないという不安点もあるので、実際どうなんだろうっていう部分はあるかと思います。
一応インスタやFacebook、e-mailで不具合のフィードバックは出来るようなので、連絡手段の分からないものよりはいいのかなと・・・
カメラに付けてメニューのファームウェアのバージョン確認で見てみると、購入したAF 20mm F2.8 Zのファームウェアバージョンは1.01でした。
現在公式ではAF 20mm F2.8 Zのファームウェアアップデートは公開されていないようなので、これが最新版のようです。
そして、手持ちのZマウント機に取り付けて動作確認をしてみたところ、以下の表のカメラで問題なくAFなどの通常動作を確認しました。
機種名 | ファームウェアバージョン |
Z6II | 1.62 |
Z9 | 5.00 |
Z30 | 1.11 |
Zfc | 1.60 |
これ以外の機種は所有していないので、申し訳ありませんが動くかどうかは分かりません。
ただ、全て現行での最新バージョンのファームウェアとなっているので、おそらくは問題ないのかなとは思いますが・・・
まとめ
ZマウントのAFレンズとしてはコンパクトな単焦点があまりない状態なので、正式なライセンス契約ではないのかもしれませんが、VILTROXが出してくれているだけでも正直有り難いなと感じました。
本当ならタムロンやシグマ辺りがこういった部分を埋めていってくれればいいんでしょうけど、ライセンス条件があるのかフルサイズ対応の単焦点やコンパクトなレンズはほぼ絶望的な感じですしね・・・
正式ライセンスでない場合の問題点として、カメラのファームウェアアップデートでレンズが動作しなくなる可能性もありますが、結構小まめにファームウェアアップデートがされているようなので、マウントアダプターを使うよりはまだマシなのかなぁという気がしなくもないかなと・・・(この辺りは実際に動かなくならないと分からない部分が多いので何とも言えませんが)
今回、実際に購入して使用してみた限りでは、AF速度も純正と変わらない感じだったので、普通に使うのであれば全然問題ないのかなっていう気はしました。
純正だと11万しますが、VILTROXだと¥23,700なので、20mmという焦点距離の使用頻度がそこまで高くない人なら選択肢として考えてみるのもアリなのではないかなと思いました。
という事で、VILTROX AF 20mm F2.8のレビューでした。