はじめに
昨日のNikon Z6IIIとNikon Z6IIを比較する記事で使用する表を作成するのに、改めてZ6IIのスペック表を見ていると、何故か頭の中からすっかり消去されていた機能を思い出しました。
それがISO感度の減感と増感です。
おいおい、お前大丈夫か?って言われそうな気もしますが、普段あまりにもお手軽撮影に慣れきっているので、ISO感度なんて基本的にはオートでISO 100~51200というドノーマルな設定にしていて、そのまま撮ってるんですよね。
流石に夜間なんかだと手動で設定する事もありますけど、普段の撮影だとオートで十分なのですっかり忘れていました(;´Д`)
実際には他のFX機でも設定は可能(Z7II、Z8、Z9はISO 32相当)なんですが、DX機には減感が無くて、Zfcでは2段の増感が出来るのみで、最低感度がISO-100になっています。
普段使いに持ち出すことが多いZ30やZfcに慣れ過ぎてしまったせいで、Z6IIでもISO-100が最低感度だと思ってしまってたんでしょうね・・・慣れって怖いね(;´Д`)
そんなわけで、たまにはカメラを始めて間もない人に役に立ちそうな話でもしてみようかと思います。
Nikon Z機でのISO感度の手動設定方法
ISOダイヤルのあるZf/Zfcではそのままダイヤルで設定することになりますが、その他の機種ではISOボタンと前後のダイヤルで設定を行います。
液晶画面下側にあるISO表示や本体上面の肩液晶に写っているISO感度の所が「ISO AUTO」や「ISO-A」になっている場合はISO感度は自動で制御されています。
ISO感度を手動制御する場合にはISOボタンを押しながらフロントダイヤルを回せば「AUTO」や「A」が外れるので、ISOボタンを押しながらリア側のコマンドダイヤルを回す事でISO感度をLo 1.0~Hi 2.0までを選択する事が出来ます。
ボタンを押しながらが面倒な人は、メニュー画面の[カスタムメニュー]ー[f操作]ー[ボタンのホールド設定]を[する]に設定しておけば、露出補正ボタン、ISOボタン、連写/タイマーボタンが1プッシュで選択状態/解除状態に切り替える事が出来ます。
一度使うと楽だったので、自分はボタンのホールド設定は「する」に設定しています。
ISO感度を下げると何がいいのか
ISO感度を下げる事で出来る事ですが、簡単に書くと・・・
シャッタースピードを下げる事が出来ます
シャッタースピードを下げる事が出来るようになると、「白飛びしにくくなる」、「長秒露光(バルブ撮影)の時間を延ばせる」、「絞りを開ける事が出来る」
という点が挙げられます。
ここからはその辺りを少し細かく書いていきます。
カメラは露出を計算している
例えば暗い場所で普通に撮ろうと思ったらISO感度を高くするというのは、カメラを自動で使ってもそうなるのでなんとなく理解できるかと思うんですが、なぜそうなるのか?
写真を撮るためにはカメラは適正露出を取ろうとします。
これはISO感度と絞り、シャッター速度の組み合わせで計算されます。
例えば晴れた日の屋外でISO100の感度でF5.6に絞りを設定したら1/500秒という基本設定があるとします。
これを同じISO100の感度で絞りをF4にしたらシャッタースピードは1/1000秒になり、F8にしたら1/250秒という感じで、組み合わせで露出を取っています。
では、自分が普段撮っているようなZ30でNIKKOR Z DX 24mm f/1.7のような明るいレンズで絞り開放にするとどうなるかというと、日陰になる場面では1/4000秒で収まりますが、日向に出るとシャッタースピードが1/4000秒で点滅します。
ようは露出オーバーですよという警告状態ですね。
この状態でもシャッターを切れば写真が撮れますが、白飛びなどが発生する可能性がかなり高くなります。
特にここ数年は日差しが強い日が多いので、普通の市街地でもフィルム時代の快晴時の山や海、雪景色といった白飛びしやすい環境に近くなっている事を考慮するなら、こんな状態で撮るのは避けたいところだと思います。
しかし、Nikon Z6IIの最高シャッタースピードは1/8000秒でZ30やZfcの最高速度が1/4000秒です。
電子シャッターでシャッタースピードを上げる事が出来る機種もありますが、そうでない場合は絞ってシャッタースピードを落とすか、ISO感度を下げてシャッタースピードを落とす必要が出てきます。
ISO感度を下げる利点
上の事柄を踏まえて考えると、ISO感度を下げることによってどうなるのかというと『シャッタースピードを下げる事が出来る』ようになります。
絞りがISO-100の時と同じに設定した場合、ISOを50に下げることによってシャッタースピードを下げる事が出来るので、露出オーバーになりにくくなります。
残念ながらZ30やZfcでは使えないんですけどね。
別に絞り開放じゃなくてもこの条件が変わる事は無いので、絞りを上げる事によってシャッタースピードはどんどん下がっていきます。
ようするに、夜間の車の軌跡を撮るようなスローシャッター撮影をする時に、ISO-50が使える事でシャッター開放時間が調整しやすくなります。
大体のレンズがF22くらいまで使えるので、ISO-100でも何とかなったりしますが、前述のNIKKOR Z DX 24mm f/1.7だと最小絞りはF11なので、Z30だと15秒でも白飛び状態になっています。
これをZ30じゃなくてZ6IIにNIKKOR Z DX 24mm f/1.7を付けてスローシャッターで撮ればギリギリ20秒くらいはいけそうな気はするんですよね・・・
夜間に限らず頑張ればNDフィルターが無くても糸を引く川の流れとかを撮る事は出来るかもしれませんが、普段使いするならISO-50にしてもあまり違いは分からないかもしれません。
快晴の下で撮影する時なら下げておくと便利でしょうけどね。
ISO感度を下げるデメリット
ISO感度を下げると白飛びをしにくいとかシャッタースピードを下げて絞りを開けることが出来るというメリットがありますが、当然ながらデメリットもあります。
それはシャッタースピードの低下によるブレが起きやすい事
日陰に入ったりすると極端にシャッタースピードが落ちたりするので、手ブレを起こしやすくなります。
逆にシャッタースピードが落ちる事で被写体ブレも起きる可能性があるので、ISOオートで撮りながら、場面によってLoに切り替えるという使い方が必要です。
実際どんな感じに写るのか
実際に普段使いとしてISO-50を使うとどうなるかという事ですが、あんまり変わらないかもしれません(;´Д`)
絞り優先(A)で撮る場合、基本的にはISOと絞りを固定することになるのでシャッタースピードだけで露出調整を行う事になります。
結局はカメラが考える自動露出と結果は変わらなくて、シャッタースピードだけが遅くなっているだけという感じになります。
白飛びを抑えやすくはなりますが、カメラ任せなので露出補正は随時使う方がいいでしょうね。
低感度ISOで撮るのに自動絞りなNIKKOR Z MC 50mm f/2.8は向いてないなとやってから気が付いたりして(;´Д`)
最近は気持ち明るめになるようにLightroomで補正を掛けるようにしているんですが、自分的にはストレートな撮って出しでもいいんじゃないかと感じます。
ISO-100であろうがISO-200であろうが露出的には同じ結果になるので同じ写りなはずなんですが、ISO-50で撮ってるほうがそのままトリミングだけで済みそうな写真が多い感じがしますね。
まぁプラシーボ効果なのかもしれませんが。
意外と普通に使っても普段と何も変わりませんね。
ただ、風が吹いたりした時には通常のマクロ以上にスローも加わっているので被写体ブレが強く出ます。
でも、AF-Cにしてタイミングを狙って撮れば十分にシャープに写ります。
シモツケの花が一面に咲いている場所ですが、奥はハイ気味で手前のピントを合わせたブロックの花はアンダーになったりしているんですが、意外とオリジナルでもそこまで明暗差がない感じで落ち着いているので、RAW現像時に若干補正を掛けるだけでまとまってくれます。
途中でも書いたんですが、ISO-100でいつも撮ってる時に比べて、照り返しで白飛びしそうになっている部分が少ないんですよね・・・謎だけど。
まとめ
普通に使っている分にはあまり使用する事のない低感度ISOですが、使い方によっては色々と撮影の幅が広がると思うので、興味がる人は是非試してみて頂きたいと思います。
自分としてはいつもよりなんかいい感じがするので、Z6IIで撮影をする時は積極的に低感度ISOを使っていこうと思います。